【CD】BTS/Yet To Come 極私的視点レビュー
BTS (방탄소년단) 'Yet To Come (The Most Beautiful Moment)' @ ‘Proof’ Live 20220613 - YouTube
BTS/「Yet To Come」Music Video
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頂きの下に眠るYouthの亡骸
現在に至るまで、世界にはどれだけのボーイズ/ガールズグループが存在していたのだろう。
アイドルと呼ばれるその人たちは「若さ」を消費され、摩耗し、他人が勝手に区切った賞味期限を迎えると偶像としての役目を終える。
その後のセカンドキャリアで青春期と同様、またはそれ以上の成功を収めたアーティストはさほど多くない。
今や世界的アイドルとなったBTSが立つ場所は、過去に消費された「若さの亡骸」でできた山の頂上なのかもしれない。
BTS (방탄소년단) ‘Proof’ Live 20220613 - YouTube
ゲストのアンダーソン・パークが楽しげにドラムを叩いているところにつられて笑っちゃうライブ映像。いやドラムの演奏も歌もとても良いから!未聴の方は見てほしい…!
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BTSが2022年6月10日に発表した新曲「Yet To Come」は、同年6月13日ーーデビュー9周年を迎える日ーーを際してリリースされたアンソロジーアルバム『Proof』のタイトル曲の一つ。
コードもメロディもとても普遍的。そこに2022年式のビートと7人の声(全員個性的ですよね…)というスパイスが足されると、聴き心地が良いだけでなく、芯が通る感じ? (コシがあるといいますか…背骨が通るといいますか…)
余談ですけど、卒業式の合唱とかに合いそう。ラップできる子がいたらより良いし、いなかったらポエトリーリーディングとかでやろう!誰か!
「僕は 僕はさ」が非常に…良いですよね……。
失われゆくYouthへの鎮魂歌
閑話休題。
特筆したい歌詞は楽曲を締めるこのフレーズ
You & I, Best Moment is Yet to come
(君と僕の最高の瞬間はまだこれから)
彼らの決意表明であるのと同時に、普遍的な青春賛歌としても胸をうたれるものがある。
人も動物も何事にも「最盛期」のレッテルは第三者によって勝手に貼られる。アイドルに限らず、森羅万象若さが必要以上に尊ばれ、若さを失うこと=価値がないものと思わされてる節がある。(例えばペットショップに並ぶ生き物)
時は巻き戻せない。だからこそ若さは尊い。
ただ、それを失っていくことは悪なのか。時間と引き換えに蓄えた経験、刻まれた知恵が放つ光は、若さのソレより劣るのだろうか?
決してそんなことはない。それを体現しているのがデビューから9年、あの頃とは違う輝きを身につけたBTSのメンバーに他ならない。
(個人的には日本国内でこの道ーー「若さ」を手放してもアイドルでいられることを証明したのはSMAPだと思っている)
この曲が誕生したことでBTSメンバーの魂が救われたかもしれない。そして彼らがこの歌を歌うことで救われたARMYも多いだろう。失われゆく若さへの前向きなレクイエムとして。
年齢を重ねていった先々で、彼らが見せてくれるであろう音楽が今からとても楽しみです。
おまけ:ある年齢以上の人が「まだこれから」と聞いて連想するもの